ジャンクM.2 SSD (Phison E13) の解析とNANDサルベージ
死んだジャンクM.2 SSDから、搭載NANDフラッシュを生きたまま回収して自作USBメモリに再利用する——その故障解析とNANDサルベージまでの記録。基板の修復ではなく、NANDをドナーとして剥がす方針でいく。
対象デバイス
- コントローラー: Phison PS5013-E13(PCIe Gen3 x4, DRAMレス)
- NANDフラッシュ: Kingstonロゴ印字品
FH64G08UCT1-8T×4枚- Kingstonは自社ウェハーを持たないため、中身のダイ(Flash ID)は不明。要移植確認
コントローラーは Phison PS5013-E13。右端がM.2端子(B+M Key)。
NANDの印字は FH64G08UCT1-8T。Kingstonブランドだが中身のダイは非公開。
診断・作業ログ
1. ソフトからのアプローチ(通信テスト)
- UGREEN製 M.2 NVMe-USB変換ケース(Realtek RTL9210)でPCへ接続
- 「ディスクの管理」で初期化ポップアップが出るが、これは変換チップ側のダミー応答と判明
phison_nvme_flash_id2を管理者権限で実行 →Read NVME ID error。NANDのFlash ID読み出しは不可
2. ハードウェア解析(目視・テスター)
- 目視: コントローラー横の電源管理IC(DC-DCコンバータ)が熱で焼損・破裂しているのを発見
- 導通チェック: M.2端子から繋がるメイン電源ラインの平滑コンデンサ(MLCC)両端でショート(テスターのピー音)を確認
- 焼損IC横のチップ部品(インダクタ)を外し、回路を「入力側(3.3V)」と「負荷側(コントローラー/NAND)」に物理的に分断して再測定
- 結果: 入力側の右パッドのみGNDショート。負荷側(左パッド)はショートしていない → 過電圧によるNAND内部の破壊は免れている可能性が高い
コントローラー横の電源管理IC(DC-DCコンバータ)が焼損・破裂している。
インダクタを取り外し、回路を入力側(3.3V)と負荷側(コントローラー/NAND)に物理分断してから再測定した。
3. NANDチップのサルベージ(取り外し)
- 基板修復(ショート箇所の特定+部品交換)はコスト・手間の観点で断念し、NANDをドナー回収する方針へシフト
- フラックスを塗り、ホットエアー(350〜380℃)で均等に加熱
- 表面張力でチップが動くタイミングを見極め、4枚すべてを無傷で剥離(基板・チップともランドの剥がれなし)
剥離した4枚のNAND。BGAパッド面。ランドの剥がれもなく無傷で回収できた。
同じ4枚を印字面から。この状態からBGAリボールへ進む。
次のステップ
- BGAリボール: サルベージしたNAND裏の無鉛はんだを吸い取り線で平滑化し、BGA152/132用ステンシルと有鉛クリームはんだ(融点183℃)ではんだボールを再形成する
- テスト基板(IS917)への実装とFlash ID特定: IS917搭載のUSB空基板にNAND1枚をリフロー実装し、Innostor MPToolのエラーログから、ブラックボックス化されたKingston NANDの真のFlash IDを読み出す
- 本命基板の調達と最終実装: 判明したFlash IDに対応する最新のDIY用USB空基板(SM3281搭載など)を選定・手配し、自作USBメモリを完成させる