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Tech Notes

Omada SDNコントローラー構築とAP導入

🌐 導入の背景と「Omada SDN」とは

自宅ネットワークをより強固に、かつ一元管理・可視化できるようにするため、エンタープライズ向けのネットワーク統合管理プラットフォームである TP-Link Omada SDN (Software-Defined Networking) を導入しました。

Omada SDNの特徴

  • 一元管理 (Centralized Management): ルーター、スイッチ、アクセスポイント(AP)などのネットワーク機器を、1つのコントローラーからまとめて設定・監視できます。
  • 可視化とトポロジー: クライアントがどのAPに接続しているか、トラフィックがどのように流れているかをリアルタイムで把握できます。
  • ローミング制御: 複数のAPを配置した場合でも、シームレスなローミング(高速切替)を実現するための高度な無線制御が可能です。 (※製品の仕様としての現在形です)

今回は、自宅の仮想化基盤である Proxmox VE (v9.2.11) 上にLXCコンテナを立て、その中でDockerを用いてOmadaコントローラーを構築し、Wi-Fiアクセスポイントとして TP-Link Omada EAP653 を導入しました。


🛠️ 1. Proxmox LXCコンテナの作成

Proxmox 9系では従来の自動構築スクリプト(tteck系など)が非対応の部分もあったため、保守性の高いDocker運用を採用しました。ProxmoxのGUIから手動で空のLXCコンテナを作成しました。

  • Template: ubuntu-22.04-standard (または Debian)
  • Disk: 8GB 〜 10GB
  • CPU / Memory: 2 Cores / 2048 MB
  • Network: DHCP(または固定IP)

⚠️ 【重要】Dockerを動かすためのLXCオプション設定 コンテナ作成後(起動前)に、Proxmox左メニューの [Options] > [Features] を編集し、以下の2つに必ずチェックを入れました。

  • keyctl
  • nesting

🔧 2. LXCのネットワーク設定(DNSエラー対策)

LXC環境において、名前解決ができずに apt コマンドが Temporary failure resolving 'deb.debian.org' などのエラーでフリーズする現象への対策を行いました。

  1. Proxmoxホスト側の左メニューから [DNS] を開き、DNS server8.8.8.8 などのパブリックDNSを設定しました。
  2. LXCコンテナを起動(または再起動)しました。
  3. コンソールから ping -c 3 google.com を実行し、正しく疎通ができることを確認しました。

🐳 3. DockerおよびOmadaコントローラーのインストール

LXCのコンソール(root権限)にアクセスし、以下のコマンドを実行して環境を構築しました。

① Docker本体のインストール

apt update && apt install docker.io -y

② Omadaコントローラー・コンテナの起動

mbentley/omada-controller イメージは、依存関係であるMongoDB(v4.4)やJavaをすべて内包しているため、ホストOSを汚さずに一撃でデプロイできました。

docker run -d \
  --name omada-controller \
  --restart unless-stopped \
  --net host \
  -e TZ=Asia/Tokyo \
  -v omada-data:/opt/tplink/EAPController/data \
  -v omada-work:/opt/tplink/EAPController/work \
  -v omada-logs:/opt/tplink/EAPController/logs \
  mbentley/omada-controller:latest

⚙️ 4. Omada初期セットアップ

  1. ブラウザから https://[LXCのIPアドレス]:8043 にアクセスしました。
    • ※初回は自己署名証明書による「安全ではありません」という警告が出ましたが、詳細から無視してアクセスしました。
  2. 画面のウィザードに従い、以下の初期設定を行いました。
    • 管理者アカウント(ローカル)の作成
    • Site(ネットワークグループ)の作成
    • Wi-FiのSSIDとパスワードの設定

📡 5. AP(EAP653)のAdopt(紐付け)

すでにスマホアプリ等で単体設定してしまったAPはコントローラーから弾かれる場合があるため、確実にクリーンな状態から紐付けを行いました。

  1. 物理リセット: EAP653の電源を入れた状態で、本体のRESET穴をクリップ等で数秒長押しし、工場出荷状態に戻しました。
  2. Adoptの実行:
    • Omada管理画面の左メニュー [Devices] を開きました。
    • Pending ステータスで検出されたEAP653の右側にある [Adopt] をクリックしました。
    • ステータスが Provisioning から Connected に変わり、コントローラー配下への組み込みが完了しました。

📊 6. ネットワークの仕様とチューニング記録

UCOM光 マンション配線に関する考察

  • 物理構成: 部屋内にONUはなく、マンション共用部(MDF室)で光ファイバーからLANケーブルに変換・分配されたものが壁のLANコンセントに直結されていました。
  • ルーター設定: 壁のLANコンセントの時点でインターネットIPが直接グローバル/ローカルで降ってくるため、ルーター(RTX830等)側は「DHCPクライアント」として動作させるのが最適解でした(PPPoE等の設定は不要)。
  • 速度・ボトルネック: 夜間の下り速度低下などはマンション大元の回線シェアに起因しますが、宅内環境(ルーター ➔ AP ➔ スマホ)のリンク速度は 809Mbps を記録しており、ローカルネットワーク内のボトルネックは完全に排除されていることを実証しました。

5GHz帯への最適化(2.4GHzの呪縛対策)

Omadaの設定変更は再起動不要で即時適用(Provisioning)されます。デバイスを安定した5GHz帯に確実に接続させるため、以下のいずれかの対策を実施しました。

  • 対策A: [Site Settings] > [Advanced Features] から Band Steering を有効化しました。
  • 対策B: [Wireless Networks] から2.4GHz用と5GHz用のSSIDを明確に分離しました。