Tesla V100 シュラウドの採寸と出力
概要
ファンレス仕様のサーバー用GPU「NVIDIA Tesla V100」がHP Z8G4Workstation内ではファンを含めてかなりぎりぎりの寸法であり、80mm高速ファン(ARCTIC P8 Max)を接続する専用ダクトをFusion 360で設計し、3Dプリントします。8ピン電源ケーブルとの干渉を避けつつ、ファン効率を最大化する流体設計(変形四角 ➔ 円形)を採用しました。
基本寸法・仕様
- GPU側吸気口: 約 37.4mm × 97.4mm(※特殊形状のため現物トレース)
- ファン側外形: 80.0mm × 80.0mm
- ファン側内径: 直径 76.3mm(※渦を防ぐための円形設計)
- ネジ穴(ファン側): 71.5mm ピッチ(M4バカ穴:4.5mm)
- ネジ穴(GPU側): 右側M3ネジ 3箇所(M3バカ穴:3.5mm)
- 壁の厚み: 2.0mm
- 造形素材: PETG または PETG-CF(※V100の熱で溶けるためPLAは厳禁)
モデリング手順 (Fusion 360)
フェーズ1:現物合わせトレースとスライステスト
- キャンバス配置: V100吸気口の正面写真を、定規を基準にして実寸大(位置合わせ機能)でXY平面に配置します。
- 輪郭のトレース: スケッチを作成し、吸気口の内側のライン(左下の斜めカットや、8ピンコネクタの逃げ形状)を正確になぞります。
- クリアランス確保: トレースした線を
O(オフセット)で内側に 0.2mm 縮め、嵌合用の挿し込みプロファイルを作成します。 - テストプリント: 描いた輪郭を 2mm 押し出し、スライサー(Bambu Studio等)で数分プリントして、現物にはめて形状が完璧かテストします。
フェーズ2:ベース(土台)の作成
- インサート(芯): スライステストで成功した輪郭を 5mm 押し出します。
- フランジ(ストッパー): インサートの底面にスケッチを作成し、外側に 2mm オフセットした枠を作ります。
- 固定用の耳: 同じスケッチの右側に、M3ネジ穴3つを覆う長方形を描き足し、直径 3.5mm の穴を3つ開けます。
- 押し出し: フランジと耳をまとめて手前に 3mm 押し出します(操作:結合)。
フェーズ3:ケーブル回避トンネル(直進20mm)
- スケッチ作成: フランジ上面にスケッチを作り、
P(プロジェクト)で風の通り道(内枠)を投影します。 - 外枠の作成: オフセットの拘束を解除し、ケーブル等に干渉しない自由な外枠の線を描きます。
- 直進の確保: 内枠と外枠に挟まれた厚さ2mmの壁部分を、手前に 20mm 押し出します(操作:結合)。
フェーズ4:ファンマウント台座の作成
- オフセット平面: トンネル先端から上空 22mm に平面を作成します。
- 台座スケッチ: 80mm×80mm の外枠、直径 76.3mm の内径円、四隅に 4.5mm のネジ穴(71.5mmピッチ)を描きます。
- 板の押し出し: 枠部分を下(GPU側)に向かって 3mm 押し出します。
- 接続用フチの準備: 板の裏面にスケッチを作成し、内径円から外側に 2mm オフセットしたフチ(線のみ)を描いておきます。
フェーズ5:ソリッド&カット法によるロフト(自己交差エラー回避)
薄い枠同士のロフトはエラーになりやすいため、「塊を作ってから削る」2段構えで処理します。
- 空間にフタをする: トンネル先端の細いフチにスケッチを作成し、内側の穴と外枠の線を投影(P)して、クリックできる面を作ります。
- ボディの非表示: 既存の立体ボディを一旦非表示にし、スケッチ(線画)だけを表示します。
- 塊のロフト(第1段階): 「トンネル先端(内側空洞+フチ)」から「板の裏面(内側空洞+フチ)」へ、穴のない塊としてロフト(結合)を通します。
- くり抜きのロフト(第2段階): 「トンネル内側の風の通り道の形」から「ファン側の76.3mmの円」へ、操作を「切り取り」にしてロフトを通し、中空ダクトを完成させます。
- 最終結合: 分かれているボディがあれば「結合」コマンドで1つのパーツにします。